ついに2022年1月17日、最後の牙城であったゆうちょ銀行も硬貨取扱手数料を有料化してしまった。これにより大手メガバンク全てが窓口、ATM で硬貨を大量に預け入れる場合に手数料がかかってしまうことになる。今までちまちま小銭を集めて貯金箱に入れて、貯まったら全部銀行に預け入れをしていた層は、ヘタをすると預け入れると損をすることになってしまう場合もある。これはもう銀行から小銭をなるべく使わないでくれとのメッセージなんじゃなかろうか、と受け取った自分は大半の支払いをキャッシュレス化してしまった。具体的に何を実施したかを解説する。
硬貨の取扱は銀行にとっては高コスト
NHK のサクサク経済Q&A に詳しく記載されているので詳細は省くが、銀行にとって硬貨を取り扱うのは非常にコストがかかってしまう。大量に突っ込まれる、変形硬貨や外国の硬貨、ゲーセンのメダルが混ざってしまう等の事象を受けてATM が故障してしまい修理に膨大な費用を払う羽目になったり、重量や体積があるため運搬、保管コストも馬鹿にならない。
加えて昨今の低金利の影響を受けて、これだけコストを投じても銀行側がそれをペイするだけの利益が上がらない。となると手数料の引き上げは必定だったと言える。
そもそも現金を多用するから小銭が増える
寺社仏閣への賽銭や募金なんかは仕方ないとして、普段の生活において支払いに現金を使えば使うほど小銭を取り扱う機会はどうしても増えてきてしまう。個人で考えたとしても小銭を大量に持ち運ぶと財布の中はパンパンになるし当然ながら重たくなる。会計なんかをする時も細かいお金を払おうとして財布から小銭を取り出す際にあたふたして後続で待つ人をイラつかせたり逆にイラつかされたりすることも多々あるだろう。そして細かいお金がなくて仕方なくお札で支払いを行いお釣りで小銭が大量に増える。この繰り返しで小銭がどんどん増え、取り扱う機会もさらに増えていってしまう。そして現在は銀行での硬貨取扱手数料の有料化で行き場を失った硬貨がどんどん自宅に溜まっていくという流れだ。
ならば現金を利用する機会を極力減らせばよい
ならば様々なところで行っている支払いを現金ではなく、クレジットカードや接触型ICカード決済、スマホのQR コード決済などの、いわゆるキャッシュレス決済で支払いを実施してしまえばよい。これならばカードを突っ込むだけ、カードをかざすだけ、店員さんにスマホを見せるだけ、さらに言えば無人のセルフレジやキャッシュレス専用レジも使用可能になる。余計な小銭探しの手間も省けるし、財布が重たくなることもなくなる。
強制ほぼキャッシュレス生活に向けてはじめたこと
自身も今までは現金至上主義で普段の支払いは基本的に現金で、クレジットカードはそれでしか支払いができない場合にのみ限るという風に生活してたんだが、これを機会にいっそのこと逆にして、現金のみでしか支払えない場合のみ現金にして、それ以外は基本的にキャッシュレス決済にしてしまおうと一念発起した。これにあたって始めたこと、検討したことを以下にまとめていく。
各種経済圏においてどの経済圏をメインにするかを検討
大手携帯キャリアや企業が利用可能としているポイントのうち、どのポイントをメインにするかをまずは検討した。それによって今後利用していくキャッシュレス決済に何を使うかが決まってくるからだ。
我が家の場合は元々メインで利用していたクレジットカードがdカード(DCMX 時代からずっと使ってる)だったから、自然とドコモ経済圏をメインにすることに決定した。次点ではホームセンターやドラッグストアでちまちま楽天ポイントを貯めていたので楽天経済圏という手もあったが、こちらはあくまでもサブとして使うことに。
ポイントカードを作りすぎない
もちろん、上記以外でも各種店舗でオリジナルのポイントカードが用意されていて、そちらの方が還元率が非常に高かったりするが、基本的に1ヶ月に半分以上通うことがある店舗以外ではポイントカードを基本的に作らないことにしている。そもそも各商業施設が実施している独自のポイント制度は、その店舗ならびに系列店で買い物をしてもらうための囲い込み戦略のためなんだ。さらにポイントが分散することで、有効期限が切れるポイントが複数箇所で短期スパンで発生してしまうことになる。ポイントが消えることに対するプレッシャーで対象の店舗へ、本来必要としない買い物をしてしまう可能性まででてしまう。こうならないためにも基本的には上記経済圏のポイントを主軸に置いておくのが賢明だと言える。ドコモ経済圏のdポイントならば通常獲得したポイントの有効期限は獲得日から4年、楽天ポイントに限っては有効期限なしだ。
クレジットカードの国際ブランドを確認しておく
主たる経済圏に紐づくクレジットカードが決まったら、そのカードの国際ブランドをチェックしておくとよい。基本的にはVisa かMasterCard のいずれかであれば問題ない。ほとんどのクレジットカード対応店舗ではこの2つは使えるようになっているためだ。
JCB ブランドは使える店舗が減りつつある
日本で唯一の国際カードブランドであるJCB だが、近年ではJCB カードだけ使えない店舗が増えてきている。例えば回転寿司チェーンのスシローはVisa, MasterCard のいずれかしか使えないし、ネット決済においてはラクマ(但し楽天カードブランドおよびポケットカード発行のJCB は使用可能)なんかがそうだ。JCB の加盟店手数料がVisa やMasterCard と比較して高いことが主な原因なのだろう。というわけで新規でクレジットカードを発行する場合はVisa かMasterCard のいずれかを選択しておけば問題ない。但し、コストコを利用する場合はMasterCard しか利用することができないので、MasterCard ブランドで発行するのが望ましい。
メインカードとは別の国際ブランドカードを追加作成
基本的にはメインで利用するカードを1枚持っておくだけで事足りるのだが、我が家の場合はそうはいかなかった。我が家は月に1回、冷凍保存しておく食材や、常備品として置いておく日用品をコストコで買っているのだが、コストコはMasterCard ブランドでしか決済することができない。メインカードを発行した社会人1年生だった当時はコストコの利用者ではなかった(うえに当時のコストコはAMEX ブランドのみ使用可能だった)ので、大抵の店舗で利用可能なVisa ブランドでdカードを発行してしまっていたために、コストコでdカードを利用した決済ができない状態でいた。
コストコでの1回の会計は大体1万円を超えるなど割と高額になるので、現金払いにすると非常にポイント獲得的な意味でも非常にもったいないことから、どうにかしてMasterCard ブランドのクレジットカードを作成できないか検討した。
楽天銀行デビットカードでMasterCard ブランドを利用することに
とはいえ、複数枚クレジットカードを持つことで支払いが分散してしまうことになる。基本的にはカード料金の支払いは1箇所にして管理しやすいようにしてしまいたいので、他の方法を探すことにした。
そこでまず思いついたのがデビットカードでMasterCard ブランドにしてはどうかということだったが、この組み合わせでデビットカードを発行できる金融機関が極端に少ない。が、楽天銀行がこの組み合わせをカバーしており、デビットカードの決済でも楽天ポイントが付与されることからサブの経済圏として楽天経済圏を選択したことが活きてきた。ガソリンを入れる際には口座に1万円以上入っていないと決済不可という条件はあったものの、大手メガバンクよりも金利が高いことから貯蓄兼デビットカード引き落とし口座としても使えるなという判断に至り、楽天銀行の口座開設とMasterCard ブランドでのデビットカードの発行を実施した。(ついでに余剰金を投資に回すために楽天証券に証券口座も発行してマネーブリッジの設定も行っておいた)
QR コード決済もメイン経済圏のものを使う
残りはQR コード決済だが、こちらも基本的にはメインの経済圏のものを使っておけばよい。ドコモ経済圏ならdカード+d払い、楽天経済圏なら楽天カード+楽天ペイ、ソフトバンク経済圏ならPayPayカード+PayPay といった具合だ。加えて言うならばQRコード決済についても主に使うのは1種類だけで良い。なぜならば主に日本で利用されているQR コード決済のほとんどが、大抵のQR コード決済に対応している店舗で使用可能になっているからなんだ。どうしても使うことができない店舗であってもクレジットカードには大体対応しているから、ダメだった場合はクレジットカード決済、ごくごく限定的に対応している店舗、たとえばPayPay と現金のみ、みたいなところに関しては残念ながらPayPay をメインのQR コード決済としていない場合は現金を使うしかない。
QR コード決済の支払方法はメインのクレジットカードからに設定しておく
まずは決済の方法だが、QR コード決済は主に以下の3通りの方法で支払いを実施することができる。
- 交通系電子マネーのようにチャージをしてそこから支払う
- 直接クレジットカード経由で引き落としを行う
- 連携しているポイントから支払いを実施する
まず基本的にはクレジットカード経由での支払いにしておき、チャージ経由では余程の理由がない限りは実施しないようにしておく。前述した通りQR コード決済をメインの経済圏と同様にすることで、決済時にその経済圏のポイントが入るようになっているのだが、これをQR コード決済を通してメインの経済圏クレジットカードカードにすることで、クレジットカードカード利用ぶんのポイントも後ほど入ってくるようになる。つまり、ポイントの二重取りができるわけだ。
幸運なことに支払いを実施する店舗が自身の経済圏のポイントカードに対応している場合は、ポイントカードの提示でもさらにポイントを付与することができるので、ポイント三重取りなんてこともできたりする。
チャージは基本的に現金からの実施となる
チャージで支払うことの何が問題なのかだが、基本的にQR コード決済へのチャージはカード経由で実施することができない。大抵の場合は銀行口座、セブン銀行ATM からの入金、コンビニレジでのバーコード読み取りチャージのいずれかになることが多い。PayPay のようにPayPay カードからチャージできるものならば別だが、現金を経由してしまうことで必然的に現金を持ち歩くというキャッシュレスに逆行する行動を取らされてしまうことになるんだ。
おまけに現金を経由することで、その分のポイント付与が目減りしてしまう。ポイント獲得機会を失ってしまうのは家計の損失にもなるため、私としてはチャージでの運用はオススメしない。
そもそも物理的に大きな財布を持ち歩かないようにする
ここまで準備したら普段の買い物で支払いに使用するものを限定していくことにする。まず私が始めたのは、長財布や折りたたみ財布など、現金も小銭もクレジットカードもポイントカードもなんでも入るといった類の財布を基本的に持たないようにすることだ。キャッシュレスの強みは小銭や紙幣を取り出す手間を省くことなんだから、極力現金を持ち歩かなくて済むような財布を使うようにすればいい。
普段使いはスマホ、そして必要最低限でコンパクトな小さな財布のみ
私が普段支払いに使っているのはスマホ含めて3種類のガジェットのみに留めている。二つ折り財布も持ってはいるが、めったなことでは鞄から取り出すことはない。それぞれの用途は以下の通り。
- iPhone 13 Pro (QR コード決済、ポイントカード、店舗ごとのクーポンアプリ提示用)
- SECRID (各種決済用カード、電子マネー、会員証、免許証、交通系IC カード、紙幣)
- master-piece scratch (家の鍵、小銭入れ)
本当にこれだけで買い物が充足できるのか?と強制ほぼキャッシュレス生活を開始してからは疑問の日々だったが、1ヶ月ほど運用してみて、現金決済の煩わしさから完璧にとは言えないが開放されて快適な生活を送ることができている。何より一番爽快だったのが、無印良品に週末買い物に行った時にレジに長蛇の列ができていて辟易していたんだが、キャッシュレス専用レジにはほとんど人が並んでいなくて、十数人並んでいるレジ待ち客を後目にキャッシュレス専用セルフレジでさっさと会計を済ませて店を出ることができたことだ。キャッシュレスにすることで長いレジ待ちの列を長時間並ぶという無駄な時間を過ごさなくて済むようになったんだ。これからもこの生活を維持し続けたい。